幼児保育学科2年、二十歳を迎えた山口茉瑠に、一通の手紙が届いた。彼女はどんな「人」を目指して国際学院埼玉短期大学に入学し、どんな未来へと向かっていくのか。その歩みに迫る。
資格の勉強が楽しさを教えてくれた
彼女は埼玉県幸手市に生まれた。男子と一緒に遊んだり、二人の姉といろいろなことに挑戦する活発な少女だった。おじいちゃん子で、大好きな水戸黄門を姉妹で演じて遊んだ。彼女はいつも黄門様の役だった。勉強はあまり好きではなかった。
地元の中学校、高校へと進学。高校は総合学科だったので、いくつもの資格試験を受験することになった。珠算・電卓実務検定、簿記実務検定、ビジネス文書実務検定、情報処理検定……。資格の勉強をしていくうちに、勉強が楽しくなっていった。勉強が好きになると、成績もぐんぐん上がった。高校1年生の3学期には、学年の成績上位者に送られる「成績優良賞」を受賞。以降、高校卒業まで毎回「成績優良賞」に選ばれ続けた。
昔から子どもが好きだった。小学生の時、将来の夢は「保育園の先生」と書いた。中学生の時の作文には「短大か専門学校を出て保育者になる」と書いた。
進路先を調べ始め、教養科目が学べる短期大学へ進学しようと思うようになった。幼児保育を学べる短期大学はいくつかあった。最初に見学した短期大学は、何かが違うと感じた。学生は楽しそうにしていたが、あまり真剣さが感じられない。ただ、遊んでいるように見えた。
国際学院は厳しい学校。だけど、山口なら大丈夫
進路の先生に相談してみると、大宮にある国際学院埼玉短期大学を薦められた。
「国際学院埼玉短期大学は厳しい学校。だけど、山口なら大丈夫」
オープンキャンパスには3~4回参加した。実際に大学に行ってみると、優しい雰囲気が感じられた。先輩が学内を案内してくれ、模擬保育は心から楽しめた。廊下で迷っていると、別の学科の先生が声をかけてきて、案内してくれた。1回目のオープンキャンパスで、受験を決意した。
入学前教育には全部参加した。ピアノの経験はほとんどなかった。入学前に行われるピアノ個別レッスンには毎回申し込み、春までには両手で弾けるようになっていた。
国際学院を選んで、本当に良かった
国際学院埼玉短期大学に進学して一番よかったと思うことは、一生の親友に出会えたことだ。それまで笑顔で話していた彼女の目が真剣になった。
「他の学校でも友達は出来たかもしれない。でも、きっと本当の親友には出会えなかったと思う。国際学院を選んで、本当に良かったと思っています」
個人的な相談にまで乗ってくれる先生、質問に何でも答えてくれる学生支援センターの職員、そして就職のことから保育現場の話まで、何でも相談できた実習センターの本多先生、山下先生、齊藤先生。彼女は次々と感謝する教職員の名前を挙げていった。
自分を抑えすぎないで、楽しいと思えることに挑戦してみて
二十歳になった山口に、ある手紙が届いた。差出人は、15歳の時の自分だった。
「人を笑顔にする大人になりたい」
今もその想いは変わっていない。子ども、保護者、みんなを笑顔に出来る先生になりたい。
彼女には理想とする保育者の姿がある。自分が通った幼稚園にいた先生。ある日、階段を掃除していた先生に「さようなら」と挨拶したら、振り返って満面の笑みで「さようなら」と返してくれた。あの笑顔の優しい、あたたかい先生のようになりたい。ずっとそう思って勉強してきた。4月から、今度は自分が先生として、人を笑顔にする保育者になる。
後輩に伝えたいことはあるか聞いてみた。
「自分だけで悩みを抱え込まないで、まわりの人に相談してみて。そして、自分を抑えすぎないで、楽しいと思えることに挑戦してみてほしい。いつも『つまらない』と言っているような大人にはならないでほしいから」