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【Student】レストランサービス技能検定に合格――健康栄養学科調理製菓専攻、畑寛彰が調理師を志す理由

2020年12月21日、レストランサービス技能検定の合格発表が行われた。レストランやホテルで給仕するサービススタッフ、マネージャーの接客能力を測る国家資格で、有資格者はレストランサービス技能士と呼ばれる。

今回はレストランサービス技能検定に合格した健康栄養学科調理製菓専攻2年、畑寛彰の歩みに迫る。

子どもの頃から本が好き。県内有数の進学校、伊奈学園総合高校に進学

畑寛彰はさいたま市大宮区に生まれた。小学生時代はまじめな少年だった。担任からも頼られ、クラス委員や委員会の委員長を務めてきた。本が好きで、休日には市民図書館に通い詰めていた。

地元の中学校に進学するとソフトテニス部に所属。部長を務め50名を超える部員を率いて地区大会で入賞する成果を残した。成績も優秀で、県内有数の進学校、伊奈学園総合高校に進学した。

初めて感じた料理のあたたかさ、シェフとの運命の出会い

しかし、順風満帆の日々は続かなかった。次第に体調を崩すようになっていった。畑は静かに語り始めた。

「あの頃は、まさに人生のどん底の時期でした。それは、とある食堂に立ち寄ったときのことです」

どこにでもありそうな大衆食堂だった。店内は混雑していて、注文を待っていると、女将さんがやってきて、おでんを出してくれた。決して特別な味というわけではなかったが、口にすると心が温まるような気がした。それまで料理にはほとんど興味がなかった彼が、初めて料理を意識し始めた瞬間だった。

このことをきっかけに、調理師という道を考え始めた。偶然家の近くにイタリアンレストランがあり、スタッフ募集の掲示があったので試しに入店してみることにした。料金は五千円を超えるコース料理。簡単に出せる金額ではなかったが、一度食べてみようという心境になっていた。

あまりのおいしさに衝撃を受けた。プロの料理とはこういうものなのか。シェフに対する尊敬の念が沸き上がってきた。若い男が一人でコース料理を食べていたことに疑問を感じたのかもしれない。厨房からシェフが挨拶にやってきた。自然と言葉が出てきた。この店で働きたい。これが畑の人生を大きく変える出来事になった。彼は調理師の道を歩み始めた。

忙しく働く日々の中で、次第に学校に通って基礎から調理を学び直したいという気持ちが大きくなっていった。

専門学校ではなく、あえて短期大学を選択

学校を選ぶ際に最も重視したのは、自宅からの距離。通学に時間をかけるくらいなら、その時間を練習や勉強に充てたい。大宮駅近くにあった国際学院埼玉短期大学へ、入学することに決めた。

専門学校に行くという選択肢もあった。純粋な調理実習の時間だけを比べれば、短期大学よりも専門学校のほうが時間が長いことは間違いない。畑は語る。

「国際学院埼玉短期大学を選んで、本当によかったと思っています。調理の技術を修得できたことはもちろんですが、目標に向かって何をすればよいのか、自分で考えて行動する力を身につけることができました」

彼は毎朝、誰よりも早く大学へ登校し、練習に励んでいる。国際学院埼玉短期大学なら、実習室を自由に利用できる。そして、いつも先生が見守ってくれる。

レストランサービス技能士として、自分の目指す調理師へ向かって

※ 練習に使用したワインは試飲せず、料理に用いています。

レストランサービス技能検定を受検しようと思ったのは、彼が日頃から大切にしている信念からだった。調理とは、ただ料理のことだけを考えていれば美味しくなるわけではない。客のことを考えなければ、美味しいものは作れない。

レストランサービス技能士は、接客のプロフェッショナルだ。客のことを考え、調理師として高みに登るためには、まさにうってつけの資格だった。合格したことで、堂々とレストランサービス技能士を名乗ることができる。これで、現場で活躍することができる。プロになるという自負が生まれた。

彼が目指すのは「あたたかい調理師」。単に調理技術の優れた調理師になりたいのではなく、あたたかさを感じてもらえるような食事空間が作れる調理師になりたい。

最後に、後輩に向けてメッセージをお願いした。

「頑張れば必ず結果はついてくる。学ぶときは本当に役に立つのか疑問に思うことがあると思います。でも、必ずどこかで役に立つことがあります」