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【Teacher】「ムツゴロウ」「坊っちゃん」に憧れ、37年間の教職生活を経て国際学院に着任――キャリア委員長、武内道郎の進む道

2020年4月に国際学院埼玉短期大学の幼児保育学科教授として着任した武内道郎。1年目からキャリア委員長をはじめ、地域連携センター長、アドミッション・オフィス長の重責を担う。埼玉県教育委員会、県立高等学校の教員を37年間勤め、現在は短期大学で活躍する彼の姿に迫る。

生物学者を志した少年時代と、理数系科目のおもしろさに取り憑かれた学生時代

生まれは旧大利根町、現在の埼玉県加須市。田園に囲まれ、小学生時代は虫取りと魚取りに明け暮れた。地元の中学校を卒業後、栃木県にある國學院大學栃木高校へ進学。ムツゴロウに憧れ、生物学者を志す少年だった。

高校では物理の先生から多くの本を薦められ、読んでいくうちに物理の虜になった。夏目漱石の小説「坊っちゃん」に憧れて、主人公の出身である東京物理学校、現在の東京理科大学に進学した。暗記が苦手で、公式さえ覚えれば問題が解けること、論理を明快にしていく過程が楽しく感じ、数学科を選んだ。

大学では数学教育研究会に参加して、数学を愛する同志に巡り会った。そこには難しい数学の本を読んで笑う者や、本の内容をまるまる暗記してしまう変人もいた。おもしろいことに、支払いのときなど割り勘の計算をする者は誰もいなかった。「おもしろい問題」には興味津々だが、「つまらない問題」は解かないのだ。答えを出すよりも解いていく過程がおもしろい。数学教育研究会には、そんな人たちが集まっていた。

37年の教職を経て、国際学院埼玉短期大学に

大学生時代、教員にだけはなりたくなかった。人に威張るような仕事は絶対にやりたくない。そう思っていた。

しかし教育実習で母校に行ってみて、考えが変わった。指導教員は「数学的帰納法」の分野を丸ごと任せてくれた。かなり難しい分野だが、確認テストを行ってみると生徒がしっかり理解してくれたことが感じられた。熱意を持って教えれば、生徒はそれに答えてくれる。教える楽しさに目覚めた。民間企業に就職する同級生がほとんどだった中で、教員を目指して勉強するようになった。

埼玉県内の高等学校、埼玉県教育委員会で37年間教職を務め、文部科学省の開催する海外派遣事業に参加。その中で知り合った清水誠副学長から短期大学のやりがいを聞いて、国際学院埼玉短期大学へ。

学生の目的意識の高さを感じた

着任して最初に思ったことは、学生の目的意識の高さだった。幼稚園教諭、保育士、栄養士、そして調理師を目指し、専門職として将来を見据えて学業に励んでいる姿が強く印象に残った。「人」のすべてのベースとなる幼児教育も、誰もが欠かせない「食」の専門家も、大切な分野だと思っている。自分の今までの経験を学生に伝え、将来に役立ててほしい。そういう思いで日々の授業に取り組んでいる。

「想像力を働かせ、経験者の言葉の重みを感じてほしい」

キャリア委員長を務める武内は語る。

短期大学の2年間はとても短い。短い期間で、すぐにプロになる。だから、学生には実践的な技量を身につけられるようにと、いつも心がけている。どうしても学生の時は、教員の語る言葉の重みはまだ想像できない。でも、ちょっとした言葉が大きな意味を持っていたりする。自分の想像力を働かせ、言葉の重みを感じて、貴重な2年間を充実したものにしてほしい。

地元、加須市のおすすめは「冷や汁うどん」

最後に、地元加須市のおすすめを質問してみた。

「加須市は冷や汁うどんが名物。そば屋はほとんどなく、多くの家では自家製の手打ちうどんを作っていて、我が家でも手打ちうどんを作っています。加須にはうどんマップもあります。学生とは機会があれば、うどん談義もできるといいですね。」

教員と学生の距離の近さも、国際学院埼玉短期大学の大きな特長である。